ザンザス姿
※本気です



SS

スクアーロ×花魁ランチア(花魁ザンザス×禿ツナ)

◆ケイ様

すぐ近くから聞こえてくる、笑い声にランチアは今日何度目ともわからぬ溜め息をついた。
聞こえてくる二人分の笑い声のうちひとつは可愛がっている禿の綱吉のものだ。 まだ歳若い彼女は、初めて店に連れてこられた時から己が手塩にかけて育ててきたと言っても過言ではない。 いずれは店に出なくては行けない身とはいえ、あまりにも無垢な瞳に思わず箱入り娘のように育ててしまった。
それがいけなかったのか、花街に滅多にいないタイプに育った綱吉を太夫の位にあるザンザスが気に入ってしまったのだ。
そして、強引に自分付きの禿にしてしまった。本来ならばもう客を取るべきではあるのだが、太夫の権限でそれを先延ばしにすらしているらしい。それはいい。ランチアとて賛成だ。 綱吉に客はまだ早い。 むしろできる事ならば一生とって欲しくない。 それに関してはザンザスに言い表せない位の感謝の念を抱いている。
だが、それとこれとは話は別だ。 今綱吉の前では猫を被ってはいるようだが、ランチアは彼女程恐ろしい女は知らない。
いつか(色んな意味で)綱吉が喰われるのではないかと気が気でないのだ。しかし、いくら言っても綱吉はのほほんと笑って返すのみ。
今日とて 『あまり不用意に太夫に近づくんじゃないぞ』と言ったのに対し『どうしてですか?姐さんはとても優しいですよ』だから心配いりません、とにっこり笑って返された。まさか『喰われるぞ』とストレートに告げる事もできず、どう言おうか悩んでいる間に綱吉はザンザスのもとへと呼ばれていった。

綱吉の笑い声を聞きながら己の無力さにうなだれていると不意に部屋の襖の開く音が聞こえた。そして入ってくる覚えのある気配。というより、己の部屋に無言で入ってくるのは『彼』しかいない。

ランチアは腕に臥した顔を上げずに「来たのか」と入ってきた人物に呟いた。

「今、あっちにいても邪魔だと言われるだけだからなぁ」

また、落ち込んでるのかぁ! 特徴のある喋り方をする彼――スクアーロは窓際に座るランチアを一瞥した後、静かに襖を閉め彼女へと近づいた。そして隣ではなく背後に座り込む。

「また、説得に失敗したのかぁ」

別室で楽しそうに会話をしている太夫と禿を思い出し目の前で丸くなっている背中に話しかける。するとピクリと背中が動いた。そして小刻みに震えだす。

「どうして……、どうしてわからんのだ……」

重々しく呟かれた言葉にスクアーロが小さく苦笑した。

「まだ綱吉の前では優しい太夫を演じてやがるからなぁ」

当分は無理だぁ。言いながら震える背中にそっと手を添える。そのまま撫で下ろしてやれば、丸くなっていた背中がそっともたれかかってきた。それを支えてやりながらゆっくりと己自身に身体全体を凭れさせてやる。抵抗もせずスクアーロに全身を預けたランチアはその体制のまま再びポツリと呟いた。

「綱吉が幸せなら……、いいんだが」
「大丈夫だぁ、なんだかんだで太夫も綱吉が一番大事らしい。あんなザンザス見た事ねぇ」

肩に頭を預けてきたランチアの髪を梳いてやりながら楽しげに会話をしていた2人を思い出しスクアーロも囁く。

「なら…、今はいい……」

泣かすようなら容赦はしない。心でそう呟きながら、髪に触れる優しい感触に身を任せながらゆっくりと瞳を閉じた。

スク×花魁チアっっ!!!有難うございます!!!!
熱くシチュとか語ったら書いてくださって・・・・!ザンツナのケイさんのスクチア・・・!レア!!!
スクとチアは背中合わせで手を握り合えばいい。スクチアにさりげなくザンツナを混ぜるあたりがさすがケイさん!